学習障害(LD)で英語だけ苦手なお子さまへ|フォニックスを取り入れた学び方2025.02.04
英語だけが苦手なお子さんには、学習障害(LD)という特性が影響していることがあります。
英語は日本語と比べて文字と音の結びつきが複雑で、学習障害の特性を持つお子さんは難しく感じてしまいがちです。
本記事では、学習障害のお子さんに合った英語の学び方や、家庭でできるサポート方法についてわかりやすくお伝えします。
Contents
どうして英語だけが苦手?学習障害(LD)の特性
学習障害(LD)の特性があるお子さんが英語を苦手に感じる理由には、日本語と英語の言葉の仕組みの違いが関係しています。
英語の文字と音の結びつきが複雑で、覚えたり認識したりするのが難しい場合があるのです。
英語と日本語の違いがつまずきの原因に
日本語と英語では、文字と音のつながり方に大きな違いがあります。
日本語のかな文字は、1つの文字が1つの音節に対応していて、「か」は「ka」と簡単に表現されます。
一方、英語のアルファベットは1つの文字が複数の音を持つ場合が多く、規則性が少ないのが特徴です。
例えば、「a」の発音は「apple」では「æ」、「father」では「ɑː」など、単語ごとに異なります。
つまり、英語の発音の複雑さが、特に学習障害の特性を持つ子どもにとっては大きな壁となりやすいのです。
英語の不規則性は、文字と音を結びつける力が弱い場合、さらにハードルを高くしてしまうことがあります。
学習障害の子どもが感じやすい英語の難しさ
学習障害の特性がある子どもたちにとって、英語の学習は記憶や認知の面で負担が大きくなりがちです。
アルファベットには「b」と「d」や「m」と「n」のように形が似ている文字が多く、混同しやすいことがあります。
また、英単語のスペルは発音と一致しないものが多く、文字を覚えること自体が難しい場合もあります。
さらに、英語には日本語にない小さな音の単位がたくさんあり、聞き分けることが苦手な子どもには、リスニングの理解もハードルが高くなります。
英語の特性が日本語とは大きく異なることで、英語だけが苦手に感じる理由につながるのです。
英語が苦手な子どもを支えるポイントは?読む・書く・聞く・話すの工夫
英語が苦手なお子さんを支えるには、「読む」「書く」「聞く」「話す」の4つの力を無理なく伸ばす工夫が大切です。 小さな成功を積み重ねることで、自信と意欲を育てていきましょう。
読む力を無理なく引き出す方法
英語を読む力を伸ばすには、「音」と「文字」をつなげる体験を増やすのがポイントです。
フォニックスのような発音ルールを活用して、アルファベットがどんな音を持つかを楽しく覚えましょう。
例えば、"cat"や"dog"のような短い単語を音節ごとに分解して読む練習をすると、自然と文字の読み方に慣れていきます。
音声付きの絵本を一緒に読んだり、親子で声を出して練習したりするのもおすすめです。
難しい単語に挑戦する前に、子どもが「これなら読めた!」と自信を持てる瞬間を作るのが大切です。
書くことが楽になるサポートアイデア
英単語を書くのに苦労しているなら、ちょっとした遊び心を取り入れてみましょう。
砂や粘土に文字を書いてみると、文字の形を楽しく覚えられます。もしタイピングに興味を示すようなら、パソコンやタブレットで文字入力の練習を始めるのも良いアイデアです。
さらに、単語カードやカラフルなペンで書いた文字を使って、視覚的に覚える工夫も効果的です。
「できたね!」とたくさん褒めて、子どもたちが少しずつ成功体験を積める環境を用意することが、書く力を育てるポイントです。
聞く力を育てるためのコツ
子どもの耳を英語に慣れさせるには、楽しい音の世界を作ってあげることが、子どもの興味を惹きつけます。
シンプルな英単語を歌に乗せたり、リズムをつけて声に出してみたりすると、言葉がすっと頭に入ります。英語の歌や絵本の読み聞かせは、特におすすめです。
「これなんて言ってるんだろう?」と子どもが自然に耳を傾ける環境を作りましょう。
何度も聞いた単語やフレーズを一緒に繰り返してみると、親子で楽しく学べるはずです。
話す力を伸ばすための安心できる環境
英語を話す力を育てるには、子どもが安心して「失敗しても大丈夫!」と思える雰囲気が何よりも大切です。
家庭では、親が簡単な英語で会話を始めたり、ゲーム感覚でフレーズを練習したりするのが効果的です。
例えば、ぬいぐるみを相手に英語で話しかける遊びを取り入れると、想像力も広がります。
子どもが話したことには大げさにでも「すごい!」と褒めてあげて、英語を話す時間を楽しめる時間をたくさん作ってあげましょう。
フォニックスで読み書きが得意になる!学習障害に合った学び方
フォニックスは、文字と音のつながりを学べる方法で、英語が苦手なお子さんでも楽しく取り組みやすい学び方です。 音と文字を少しずつ理解することで、英語の基礎が自然に身につきます。
フォニックスで文字と音をつなげる方法
フォニックスは、アルファベット一文字ごとに音を割り当てて、文字と音を結びつける学習法です。
例えば「cat」という単語では、「c」「a」「t」の音を一つずつ確認しながら発音を練習します。単語全体の読み方が自然に身につきます。
また、文字を見ながら音を出す練習を繰り返すことで、文字と音のつながりがしっかり定着していきます。
文字の形や音の響きを両方意識することで、読み書きに苦手意識を持つお子さんでも楽しく学べるのが特徴です。
基礎から始めるフォニックス学習のステップ
フォニックス学習は、シンプルな単語から始めるのが基本です。
まず、アルファベットの音を一つずつ丁寧に学びます。その次に、簡単な単語(例:cat, dog)を使い、複数の音を組み合わせる練習をします。
このとき、カードや歌、絵本などを取り入れると、楽しく取り組むことができます。
繰り返し練習することで、単語の形や音を自然に覚えられるようになります。
基礎をしっかり固めることで、少し難しい単語にも自信を持って挑戦できるようになります。
応用フォニックスで広げる学習の可能性
基礎が身についたら、応用的なフォニックスにも挑戦してみましょう。
例えば、「ch」や「sh」のような2つの文字が特定の音を作るパターンや、「ai」「ea」のような母音の組み合わせを学びます。
母音の組み合わせを覚えると、少し複雑な単語も読みやすくなります。
また、不規則な発音の単語に出会ったときでも、自分で工夫して読む力が育まれます。
フォニックスへの学びが進むにつれ、英語を読む楽しさや自信もどんどん広がっていきます。
フォニックスで対処できない単語への対応法
フォニックスでは対応が難しい単語(例:one, enough)は、目で覚える「サイトワード」という方法を活用します。
頻繁に出てくる単語を繰り返し見たり、聞いたりすることで、自然と記憶に定着していきます。
絵本や音声教材を使って、文字と音を同時に学ぶのも効果的です。
また、読み聞かせを通じて楽しく学べば、苦手意識を持つことなく英語に触れられます。
家庭でできるサポート方法で安心して学べる環境を
家庭で英語を学ぶ環境を整えるには、日常の中で少しずつ取り入れる工夫が大切です。 リスニングや読み聞かせ、ICT教材を活用しながら、楽しく続けられる方法を見つけてみましょう。
リスニング力を伸ばす毎日の簡単な工夫
お子さんのリスニング力を育てるには、日常生活に少しずつ英語を取り入れてみましょう。
例えば、朝食の時間や遊んでいる間に英語の童謡や物語の音声を流してみてください。英語のリズムや音に自然と慣れるきっかけになります。
また、短いアニメや絵本の読み聞かせ動画を一緒に見るのもおすすめです。
一緒に画面を見ながら「このキャラクター、何て言ってるのかな?」など話しかけると、興味を引きやすくなります。
さらに、簡単な英語の挨拶を家族で楽しむことも効果的です。
「おはよう」の代わりに「Good morning」と声をかけるだけでも英語がぐっと身近に感じられます。
毎日少しずつ楽しく続けることで、自然と耳が育っていきます。
読み聞かせで単語と発音を自然に覚える方法
英語の絵本の読み聞かせは、楽しく単語や発音を覚える良い方法です。
明るいイラストや繰り返しの多い内容の絵本を選ぶと、お子さんも親しみやすくなります。
読み聞かせのときは、ゆっくりとしたペースで、言葉のリズムを大切に読み上げてみましょう。
イラストを指差しながら「これは何かな?」と話しかけると、興味を引き出しやすくなります。
また、音声付きの絵本やオーディオブックを使うと、正しい発音を聞きながら楽しむことができます。
お子さんが「もう一回読んで!」と言いたくなるような楽しい時間を積み重ねることで、自然に英語の音や言葉を身につけられるでしょう。
ICT教材で楽しく続ける英語学習
ICT教材を使うと、英語学習が遊びのように楽しくなります。
例えば、歌やゲーム形式のアプリを活用すれば、単語やフレーズを自然と覚えられます。
色や形、動物など身近なテーマを扱った内容があると、お子さんも興味を持ちやすいでしょう。
また、ストーリーブックや対話型のアプリでは、正しい発音を聞いたり、自分の声を録音して練習したりすることもできます。
進捗状況が記録されるアプリを選べば、頑張りが見えるので達成感が得られやすく、やる気も続きます。
無理なく楽しく続けられる学習方法を取り入れることで、英語に触れる時間が自然と増えていきます。
まとめ
学習障害(LD)の特性があるお子さんが英語を苦手に感じるのは、文字と音の結びつきの複雑さや日本語との違いが影響している場合があります。
フォニックスやサイトワードを取り入れた学習法や、家庭でのリスニングや読み聞かせといった取り組みは、お子さんが少しずつ自信を持つきっかけになります。
お子さんに合った学びの方法やペースを大切にしながら、小さな成功体験を積み重ねていきましょう。
青山学院大学文学部英米文学科卒業。
シドニーにてワーキングホリデーおよびワーキングビザで2年滞在。
アメリカ・オーストラリア・カナダ・フランス・ロシア・オランダ・タイなど世界各国に友人知人親戚が存在。
「コミュニケーションのとれる英語力を育む」をモットーに、身体を使って楽しみながら自然な英語を習得できる教室を運営中。